イタリア品種の カリフォルニア・ワイン テイスティング
美術出版社発行 季刊「ワイナート13号」春号 (平成13年12月3日発売)P145より
ここ数年、カリフォルニアにおいて脚光を浴びているイタリア品種。この先駆けともいえるのが、今回試飲したグラジアーノ家だ。イタリア・ピエモンテ州からアメリカに移り住み、冷涼な丘陵地帯に位置するカリフォルニア州メンドシーノと故郷ピエモンテが、重なりあって見えたのだろう。是非この地でイタリア品種のワインを作りたいという熱望が実り、1991年よりモンテ・ヴォルペの名でイタリア種のヴァワエタル・ワインを誕生させ、さらに1999年、ピエモンテのブドウに限定したファットリア・エノトリアの発売を開始するに至った。 現在栽培されている品種は、トカイ・フリウラ−ノ、ピノ・グリージョ、モスカート、アルネイス、サンジョヴェーゼ、バルベーラ、ネッビオーロ、ドルチェットなど実に多彩。 サンジョヴェーゼやバルベラなどの黒ブドウはもともと酸が強く、イタリアでは独特の尖った酸味が個性的とされているが、これがカリフォルニアに渡ると、パワフルな果実味にカバーされ、イタリアワインとは一味違った酸味が柔らかい、丸みのあるスタイルに仕上がっている。食事を選ぶことなく、気軽に、オールマイティーに楽しむ事ができそうだ。一方、白ワインはどの品種も酸味が綺麗なのには驚いた。凝縮したブドウの個性が素直に伝わってくるグリーンで洗練された味わい。パワフルすぎず、食事をさらに美味しく味わうために造られた飽きの来ない仕上がりだ。イタリアブドウと、メンドシーノのテロワールとの融合により、独自のスタイルがここには存在している。(コメントと解説・塚本悦子/輸入元・デプトプランニング)
モンテ・ヴォルペ・ヴィンヤード ピノ・グリージョ メンドシーノ・カウンティ 2000
82点 洋梨のシャルロット、沈丁花、白胡椒、ミネラル、微かにライムの香りが漂い、澄んでグリーンな印象。ほんわり柔らかく、ほのかな甘さが感じられ、ぴちぴちと新鮮な果実味、綺麗な酸とミネラルがこじんまりとまとまる。グレープフルーツゼリーを食べたかのようだ。 飲み頃:Now(2,500円)
モンテ・ヴォルペ・ヴィンヤード サンジョヴェーゼ メンドシーノ・カウンティ 1998
83点 干しあんず、サンザシ、湿った土、ローズマリー、アニスの香り。新大陸系のパワフルな果実味が勢いよく飛び込み、その後を追う様に太い酸が押し寄せてくる。ざらついたタンニンがまだすこし目立つか。イタリアのサンジョヴェーゼとは一味違ったふくよかなボディーだ。飲み頃:Now~2004(3,000円)
エノトリア アルネイス メンドシーノ・カウンティ 1999
85点 勢いよく飛び込んでくる果実味は、まさにパッションフルーツそのもの。ミネラルが非常に強く、冷たさを感じる口当たり、固く引き締まった酸も相重なり、粘りある完熟感が伝わりつつも実に切れが良い。パッションフルーツのババロア、甘夏みかん、石油、香水の香り。飲み頃:Now(2,900円)
エノトリア モスカート メンドシーノ・カウンティ 2000
83点 熟した洋梨、青林檎,スズラン、ミネラルなど涼やかさを感じる綺麗な香り。フレッシュで清々しい果実味、シャープな酸味とミネラルが十分溶け込んで、スレンダーなボディーはバランスが良い。微発泡も心地よく、やや甘口ながら切れのあるすっきりとした酸味。 飲み頃:Now(2,500円)
エノトリア バルベラ メンドシーノ・カウンティ 1999
83点 ドライラズベリー、ブラックペッパー、鉄、すみれの花、土の香り、ココアのような甘芳ばしさが全体を包み込み、丸みのある口当たり。濃い果実味と太い酸、程よいタンニンは柔らかく、それほど複雑味はないものの、フレッシュな酸味が食欲をそそる。 飲み頃:Now~2003(2,800円)
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